2006.11.16 Thu
この面白さは何なのか?「刑務所の中」:コミック
![]() | 刑務所の中 花輪 和一 (2000/07) 青林工芸舎 この商品の詳細を見る |
漫画家の花輪和一氏は、少年時代から無類の拳銃好きであった。大人になっても少年の心を失わなかった彼は、改造モデルガンや錆びて朽ちかかった実銃を修理した物を所持していた時期があった。しかしある日それが発覚してしまい、銃刀法違反で3年の獄中生活を体験する事になってしまう。1990年代の半ば頃である。
その時に経験した獄中生活を、出所後漫画にして発表したものがこの作品である。作品は人気を博し、山崎努主演で映画化されたので、ご覧になった方もいると思う。
まず、この本を読んだ感想から申し上げよう。とても面白かった。何がこんなに面白いのか、自分でもまだよく分析できてないのだが、とにかく興味深く面白い。花輪氏の絵のタッチは、一見野暮ったくて暗い感じだが、作品世界に入り込むと何とも言えない味を感じるようになる。独特の滑稽さが読む者の気持ちを和ませ、濃厚で緻密なタッチと豊かな表現力が心を楽しませてくれる。刑務所という拘束の多い悲惨な状況でも、淡々として明るく、日常の些細な事に面白味を発見する作者の意識には、天性の才能を感じるのだ。
具体的にどんな内容が面白かったか、印象的なところをご紹介してみよう。
まず、刑務所の中の妙ちきりんな異常に厳しいルール。朝起きてからご飯を食べて、作業をして眠るまで、一切の挙動が監視され、縛られている。違反すればすぐに懲罰が与えられる。そういったルールが、非常に丹念に細かく描かれているのが興味深かった。
それから、厳しいルールに慣れてきて、そういった拘束に身を任せるようになると、自分では何も考えなくていいから、ある意味とても楽だという事。作品中によく柵に入れられた豚のイメージが出てくるが、寝て起きて飯を食い、言われるままに動いてまた寝るだけの生活を続けると、やがて脳がドロリと麻痺して気持良くなってくるという現象が、とてもよく分かったような気がする。実際、毎日会社と家を往復する貧乏サラリーマンだって、思い当たる節がないわけではないと、自分を振り返ってみてそう思う。
雑居房で共同生活するたの受刑者達とは、いろんな話をするが、皆いたってごく普通の人々のように見える。が、しかし自分が捕まった理由を明るくサラリと披露する場面があって、それが覚醒剤だったり、殺人だったりするのだが、普通の人に見えるからこそ逆に人間というものの「業」を感じたりする。
この「刑務所の中」がヒットしたので、この後に「刑務所の前」という作品が描かれている。刑務所に入る原因になった状況を漫画にしたものだが、現在も「ビッグコミックオリジナル」増刊号に連載中らしい。これまでに第2集までコミック本になっていたので、2冊とも入手してしまった。これからじっくりと読んでみたいと思う。大人がハマる花輪漫画、皆さんもいかがですか?
◇刑務所の中 / 花輪 和一
具体的にどんな内容が面白かったか、印象的なところをご紹介してみよう。
まず、刑務所の中の妙ちきりんな異常に厳しいルール。朝起きてからご飯を食べて、作業をして眠るまで、一切の挙動が監視され、縛られている。違反すればすぐに懲罰が与えられる。そういったルールが、非常に丹念に細かく描かれているのが興味深かった。
それから、厳しいルールに慣れてきて、そういった拘束に身を任せるようになると、自分では何も考えなくていいから、ある意味とても楽だという事。作品中によく柵に入れられた豚のイメージが出てくるが、寝て起きて飯を食い、言われるままに動いてまた寝るだけの生活を続けると、やがて脳がドロリと麻痺して気持良くなってくるという現象が、とてもよく分かったような気がする。実際、毎日会社と家を往復する貧乏サラリーマンだって、思い当たる節がないわけではないと、自分を振り返ってみてそう思う。
雑居房で共同生活するたの受刑者達とは、いろんな話をするが、皆いたってごく普通の人々のように見える。が、しかし自分が捕まった理由を明るくサラリと披露する場面があって、それが覚醒剤だったり、殺人だったりするのだが、普通の人に見えるからこそ逆に人間というものの「業」を感じたりする。
この「刑務所の中」がヒットしたので、この後に「刑務所の前」という作品が描かれている。刑務所に入る原因になった状況を漫画にしたものだが、現在も「ビッグコミックオリジナル」増刊号に連載中らしい。これまでに第2集までコミック本になっていたので、2冊とも入手してしまった。これからじっくりと読んでみたいと思う。大人がハマる花輪漫画、皆さんもいかがですか?
◇刑務所の中 / 花輪 和一
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